言葉の力|モンテーニュ——休憩中まで、頭の中で働いてしまう日に

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ソファに座って、ようやくひと息。ところが頭の中では、さっきの会話を再生し、明日の段取りを組み直し、ついでに来週の心配まで始めています。体は休憩に入ったのに、脳内の事務所だけは照明がこうこうとついている。

休む時間を確保したはずなのに、その時間を受け取るのが案外難しい。そんな日に、少し拍子抜けするほど素直な言葉があります。

踊るときは、踊る

踊るとき、私は踊る。眠るとき、私は眠る。

モンテーニュ『エセー』第3巻第13章「経験について」。Charles Cotton訳・W. Carew Hazlitt改訂の英訳からの本記事訳。

参照した英訳は “When I dance, I dance; when I sleep, I sleep.”。続く箇所では、美しい果樹園を歩いていて考えが別の出来事へ向かったとき、散歩や周りの心地よさへ思いを戻す様子が語られます。一度も気が散らない人の話ではなく、気が散ったところから戻る姿として読むと、少し親しみが湧きます。

休みを、次の仕事の準備だけにしない

お茶を飲みながら、仕事の役に立つ音声を流す。散歩をしながら、返信の文面を考える。それを楽しめる日もあります。ただ、疲れている日にまで「せっかくの時間だから何か得よう」とすると、休憩にも成果物が必要になってしまいます。

役立つ時間にしなくても、好きな曲を一曲聴けたら、それでよいのかもしれません。歌詞を覚えなくても、感想を投稿しなくても、何かに活用できなくても。聴いている時間そのものを、自分のものにしてみるのです。

もちろん、考えごとを完全に止める必要はありません。「また仕事のことを考えた」と自分を採点したら、休憩にもう一つ仕事が増えます。気づいたときに戻る。それくらいの緩さで十分です。

今日の数分は、その数分のために

次の休憩で、数分だけ何か一つを選んでみる。音楽なら音楽。窓の外を見るなら、その景色。忘れたくない用事が浮かんだら一行メモに残して、今していたことへ戻ってみてもよいでしょう。

うまく休めたかどうかの反省会は、開かなくて大丈夫。休憩は、立派に仕上げる課題ではありません。踊るときは踊る。お茶を飲むときは、お茶を飲む。今日の小さな時間に、それ以上の役目を持たせない日があってもいいのです。

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出典・参照

Michel de Montaigne, On Experience, Book 3, Chapter 13(HyperEssays)。Charles Cotton英訳(1685年)、W. Carew Hazlitt改訂(1877年)。日本語引用は同英訳からの本記事訳。仕事、音楽、休憩への展開は本記事独自の考察です。

この言葉から、もう一冊

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記事で触れた「経験について」を収録する選集です。本記事の日本語引用は英訳からの独自訳のため、書籍の訳文とは異なります。

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