言葉の力|エピクテトス——相手の評価まで、自分の仕事にしない

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説明する順番を考えて、資料も直して、いよいよ提案。ところが返ってきたのは、思ったより薄い反応でした。帰り道、頭の中で発表会をもう一度開催する。「もっと明るく話せばよかったかな」。相手のうなずきまで、自分で用意しなければいけない気がしてきます。

丁寧に準備することと、相手に必ず喜んでもらうこと。その二つは似ているようで、少し違うのかもしれません。

自分に委ねられているもの、いないもの

私たちに委ねられているものもあれば、そうでないものもある。

エピクテトス『提要』第1節。Elizabeth Carter英訳からの本記事訳。

参照した英訳は “Some things are in our control and others not.”。続く箇所では、自分の判断や行為と、財産や評判などを区別しています。何も気にしないためではなく、何を自分の責任として引き受けるのかを考える言葉として読んでみます。

できることと、保証できないこと

提案の内容を確かめる。相手の質問を聞く。分からないことを曖昧にしない。こうした行動は、自分で選べる部分です。一方、相手がその場で納得するか、どんな表情をするかには、相手の事情も関わります。誠実に説明したからといって、賛成票まで添付できるわけではありません。

もちろん、反応から学べることはあります。「自分では決められない」で終わらせず、説明不足だった点は確認して直す。ただ、改善の材料を探すことと、相手の反応を丸ごと自分の落ち度にすることは別です。

この区別を、困っている人に「あなたの受け止め方の問題だ」と言うためには使いたくありません。不当な扱いまで我慢する必要はなく、相談したり、環境を変えたりする選択も残しておきたいものです。

今日の担当範囲を、一つだけ決める

気になっている仕事について、「次に自分ができること」を一つ書いてみる。確認の質問を送る。資料の数字を見直す。そこまでできたら、相手の返事や評価は、いったん保留にしてもかまいません。

すべてを自分の担当にすると、仕事の終わりが見えなくなります。できることを丁寧にする。その先の結果まで、一人で背負わない。今日の仕事には、ちゃんと終業時刻があっていいのです。

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出典・参照

Epictetus, The Enchiridion, section 1, translated by Elizabeth Carter(MIT Internet Classics Archive)。解説参照:Dickinson College Commentaries, Chapter 1 essay。引用の日本語は本記事訳。提案や評価、仕事の担当範囲への応用は記事独自の考察です。

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