言葉の力|シモーネ・バイルズ——「手を貸して」が言いにくい夕方に

夕飯を作りながら、洗濯機の終了音が鳴る。買ってきたものは、まだ袋の中。誰かに一つ頼めばよいのに、「自分でやったほうが早い」と動き続ける。そんな夕方を思い浮かべてみてください。

今日の名言

自分たちだけでできると思っていても、どうしてもできないときもあります。

シモーネ・バイルズ(本記事訳)

答えを全部持った人としてではなく

体操選手のシモーネ・バイルズは、東京2020大会で心身の健康を優先して複数の種目を棄権しました。その後、2021年10月に公開されたOlympics.comのインタビューで、メンタルヘルスについて発信する立場になった戸惑いも話しています。

自分自身もまだその過程にいること、人によって経験の仕方や合う方法が違うこと。彼女は、すべての人に通じる答えを得た人として話しているわけではありませんでした。

そのなかで語ったのが、両親やコーチ、当時の交際相手といった身近な支えを頼ることでした。今日の一文は、その支えを使う大切さについて話した部分からの抜粋です。

頼めることを、一つに分けてみる

ここからは本記事の考察です。競技上の深刻な状況と日常の家事を同じ重さとして扱うのではなく、「一人ではできないときがある」という一文を、身近な場面に重ねてみます。

助けを頼みにくいのは、相手も忙しそうだから、説明が面倒だから、途中までやったのだから。理由は一つとは限りません。頼める相手がすぐ近くにいない場合もあります。

だから「もっと人を頼りましょう」と言われるだけでは、かえって困ることもある。それでも頼める相手がいるなら、全部を説明する代わりに、今ある作業を一つだけ渡せるかもしれません。洗濯物を運んでもらう。袋の中の冷蔵品をしまってもらう。

その一つが片づいても、忙しさは残るでしょう。ただ、台所に立っている人だけが、すべてを引き受けなくてもよい時間にはなりそうです。

今日の分を、一人分に戻す

自分でできた日があるからといって、今日も同じようにできるとは限りません。バイルズの一文には、その違いを認める余地があります。

もし自然に頼める相手がいるなら、「これだけお願い」を一つ。いまはそれが難しいなら、頼めない自分にまで、さらに仕事を増やさずにいたいものです。

出典・参照

Olympics.com / Scott Bregman, Exclusive! Simone Biles on sparking mental health conversation: We’re going through it together.(2021年10月10日)

引用原文:We think we can do it on our own, but sometimes we just can’t.

日本語は本記事による独自訳です。原文の一文を抜粋しています。東京2020大会後のGold Over America Tourのアナハイム公演前のインタビューから引用しました。日常の具体例と考察は本記事独自のもので、本人が家事について助言したという意味ではありません。

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