言葉の力|さかなクンと考える、上達しなくても好きな時間

趣味を聞かれて、少し考える。お菓子の新商品を見るのは好きだし、水族館では同じ水槽の前に長くいる。でも、詳しいわけでも、何かを作れるわけでもない。「趣味と言うほどではないんですけど」と、つい前置きをしたくなる。そんな場面を想像してみてください。

今日の名言

“好き”という気持ちがあるのは、それだけでとっても素晴らしいこと。

さかなクン

魚の前は、トラックと妖怪だった

さかなクンは、2021年の講談社コクリコのインタビューで、最初に大好きになったのはトラックだったと話しています。街を走る車を見て絵を描き、その後は水木しげるさんの妖怪、そして友達が描いたタコの絵へ。そこから、本物のタコや魚への興味が広がっていったそうです。

最初から魚だけを見つめて、将来の仕事を決めていた、という話ではありません。目の前の形に驚き、もっと見たくなり、描きたくなる。その面白がり方が、先にあったことが伝わってきます。

今日の言葉が出てくるのは、好きなものが見つからない子どもについて尋ねられた場面です。さかなクンは食べ物やペット、スポーツや手芸にも話を広げ、自分もスイーツや楽器が好きだと答えています。

「詳しくないけど好き」のままで

ここからは、この言葉を日常に重ねた本記事の考察です。

好きなものを話すとき、私たちは時々、詳しさを証明しようとします。映画が好きなら監督の名前を、花が好きなら品種を、料理が好きなら得意料理を。聞かれてもいない試験を、自分で始めてしまうことがあります。

けれど、水族館で魚の顔を眺めている時間にも、好きなお菓子を半分ずつ食べ比べる時間にも、それぞれの楽しさがあります。名前を全部覚えなくても、その時間までなくなるわけではありません。

好きなことを深く学ぶ面白さも、もちろんある。ただ、深くなる前の小さな楽しみを、入口で追い返さなくてもよさそうです。

次の魚に、また足が止まる

次に趣味を聞かれたら、立派な説明が浮かばないかもしれません。それでも、自分の目がつい追ってしまうものはある。

さかなクンの話を読んだあとでは、その「つい」が少し楽しみに思えます。水槽の前で足が止まったら、今日はその魚を、もう少し眺めていたくなります。

出典・参照

講談社コクリコ「さかなクンインタビュー 子どもの“好き”の見つけ方・育て方/第1回」(2021年6月7日、取材・文:星野早百合)

英語は本記事による独自訳。原文の一文を抜粋。

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