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お昼を食べながら、スマホで連絡を返す。次の予定を確認して、気になっていた記事を読む。気づけばお皿は空っぽ。食事は済んだのに、「どんな味だった?」と聞かれると、少し考えてしまう。そんな慌ただしい昼休みがあります。
ちゃんと食べる時間を取れた。それだけでも十分な日もあります。ただ、余裕があるなら、食事を用事の一つとして終える前に、ひと口だけ味わってみたい。今日は、食べることと、その場に聞こえる音が一緒になった一句です。
柿の味と、鐘の音がある風景
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
正岡子規『寒山落木』
柿を食べていると、鐘が鳴る。最後に「法隆寺」と場所が置かれます。参照資料では季語を「柿」、季節を秋とし、「法隆寺の茶店に憩ひて」という前書きも紹介されています。
短い言葉なのに、口にしたものと耳に届く音から、一つの場面が浮かんできます。子規が「食事中はほかのことをするな」と教えているわけではありません。この句を読む私たちが、普段の食べ方を少し振り返ってみる。ここからは、そんな日常へのつなぎ方です。
食べる時間まで、何かを片づけなくても
食事と一緒に連絡を済ませれば、あとが楽になる。そのつもりで始めたのに、返信から別の用事が生まれて、休憩が終わる頃には頭の中だけ忙しいまま。お腹は満たしても、自分の時間を過ごした感じがしないことがあります。
だからといって、毎回きちんと食卓を整えたり、季節の献立を用意したりしなくても大丈夫。買ってきたおにぎりでも、昨日の残りのおかずでも、いつものパンでもかまいません。
「海苔の香りがする」「今日は少し甘い」「この端の食感が好き」。誰かに伝えるほど立派な感想でなくても、一つ気づければ、そのひと口はただ通り過ぎた食事とは少し違います。
最初のひと口だけ、画面を置いてみる
次の食事で余裕があったら、最初のひと口だけ、手元の画面を伏せてみませんか。温かさや香り、食感に気づいてから、あとはいつもどおりでも十分です。食べ方の正解を増やすためではなく、目の前のものを一度受け取るための小さな工夫です。
忙しくてできない日も、自分を責めなくて大丈夫。「そういえば、あの句があったな」と思い出した日に試すくらいでよさそうです。
法隆寺の鐘が聞こえなくても、身近には台所の音や、誰かの声があります。今日食べたものを、ひと口ぶんだけ覚えている。そんなささやかな昼休みも、悪くありませんね(*^^*)
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出典・参照
正岡子規『寒山落木』。引用・季語・前書きの参照:Weblio辞書「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」(現代俳句一覧)。食事へのつなぎ方は本記事独自の読み方です。
暮らしにも、小さなきっかけを
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