言葉の力|ダーウィン——「絶対そうです」と言い切る前に

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「それなら知っています」と説明したあと、詳しい人のひと言で、話が急に複雑になる。さっきまで一本道だったはずが、条件分岐が五つも出てくる。自信満々だった自分を、そっと会議室の外へ連れ出したくなる瞬間です。

知っているつもりと、確かめて知っていること。その境目を見直したくなる言葉があります。

自信の強さは、知識の量と同じではない

知識よりも無知のほうが、自信を生むことが多い。

チャールズ・ダーウィン『人間の由来』序論。英語原文からの本記事訳。

原文は “ignorance more frequently begets confidence than does knowledge”。ダーウィンは続けて、知識の少ない人のほうが、ある問題は科学によって決して解決されない、と断言しがちだと述べています。もとの文脈は、人間の起源を知ることができるかという議論です。職場の誰かを「無知だ」と決めつけるための言葉ではありません。

「知っている」の範囲を、小さく確かめる

この一節を日常に重ねるなら、自分の説明にどんな条件が付くかを考えてみます。「この方法なら大丈夫」と言う前に、前回と同じ環境なのか、例外はないのか。聞いた話なのか、資料で確認したのか、自分で試したのか。その違いを一つ分けるだけでも、言葉の出し方が変わります。

「前回はこの条件で使えました。今回はここを確認します」。少し長くても、こう伝えれば、分かっている部分と未確認の部分が相手にも見えます。曖昧に逃げるのではなく、確認の場所を明らかにする言い方です。

ただし、自信がある人は間違っている、という逆向きの決めつけもしないようにしたいものです。経験や根拠に支えられた自信もありますし、慎重な言い方なら正しいとも限りません。見るべきものは声の大きさより、説明の中身なのだと思います。

今日、一つだけ「確認します」を足す

すべてを調べ尽くしてからでなければ話せない、ということではありません。今日のやり取りで、未確認の点を一つだけ、そのまま伝えてみる。「ここはまだ確認していません。調べてからお返事します」。必要なら、返答の目安も添えます。

知らないところが見つかった日は、昨日までの自分が全部駄目になる日ではありません。説明の地図に、新しい分かれ道が一本増えた日です。すぐに言い切れないことも、丁寧に話せることの一部なのかもしれません。

学び方や伝え方を変えてくれた言葉も、「みんなの言葉」投稿ページから聞かせてください。

関連する言葉:兼好法師——聞くのは恥ずかしい、と抱え込む日に。

出典・参照

Charles Darwin, The Descent of Man, and Selection in Relation to Sex, Introduction。引用参照:Oxford Reference「Charles Darwin」。日本語は掲載英語からの本記事訳。仕事での確認や伝え方への展開は記事独自の考察です。

この言葉から、もう一冊

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名言の背景を原著で確かめたい方へ。本記事の日本語引用は英語原文からの独自訳のため、書籍の訳文とは異なります。

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