言葉の力|兼好法師「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり」——聞くのは恥ずかしい、と抱え込む日に

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「これ、どこを押せばいいんだろう」。初めて使う画面を前に、もう十五分。隣の人に聞けば早そうなのに、忙しそうだし、今さらこんなことを聞くのも気が引ける。気づけば操作そのものより、聞くかどうかで悩んでいる。そんな日、ありませんか。

自分で調べるのは大切。でも、一人でできることと、一人でやらなければならないことは、同じではないのかもしれません。

小さなことにも、案内してくれる人がほしい

少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。

兼好法師『徒然草』第52段(表記は参照記事に従う)

「ちょっとしたことにも、案内してくれる人はいてほしいものだ」。今の言葉にするなら、そんな意味です。ここでいう先達は、先に経験していて、道を知っている人のこと。

この段には、石清水へ参拝に出かけた仁和寺の法師が登場します。ふもとの寺社を拝んで満足し、山上の本来の参拝先へは行かずに帰ってしまう。その話を受けて置かれるのが、この一文です。

頑張っていても、行き先を取り違えることはある

法師は、出かけるのを面倒がったわけではありません。思い立って、歩いて、実際に足を運んでいます。それでも、知っている人のひと言がなかったために、目的地を取り違えてしまいました。

仕事でも似たことはありそうです。資料を丁寧に作ったのに、求められていた形式と違った。申請書を埋めたのに、提出先が違った。努力が足りなかったのではなく、出発前の確認が一つ足りなかった。そう捉え直せる場面もあります。

だからといって、何も調べず全部お任せ、という話でもありません。「ここまでは分かったけれど、この先が分からない」。そこまで伝えられれば、相手も案内しやすくなります。

今日のひと言を、質問に変えてみる

今日は、止まっていることを一つだけ思い浮かべてみてください。そして「少しだけ確認してもいいですか」と聞いてみる。すぐに答えてもらえないなら、都合のよい時間を尋ねるだけでもかまいません。

頼る相手は、肩書きの立派な人に限りません。その操作を昨日済ませた同僚、同じ手続きを経験した家族、公式の問い合わせ窓口。自分より一歩先を知る人が、今日の先達になることもあります。

聞いたからといって、これまでの頑張りがなくなるわけではありません。頑張りを目的地に届けるために、道を確かめる。そんな質問なら、少し気軽に口にできそうです(*^^*)

作品を本で読む(小川剛生訳注・現代語訳付き):
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※紹介する版の訳文・表記は、記事内の引用や本記事訳と異なる場合があります。

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出典・参照

兼好法師『徒然草』第52段。本文・筋の参照:ダイヤモンド・チェーンストア「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり」。現代語の説明と日常へのつなぎ方は本記事によるものです。

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