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仕事が終わって外へ出たのに、頭の中ではまだ会議中。帰りに買うもの、返していない連絡、明日の段取り。ようやく自由になったはずの時間まで、用事の続きをしていることがあります。
そんな日に、ふと見上げた空が思いのほかきれいだった。ほんの数秒なのに、さっきまでの慌ただしさと少し距離ができる。今日は、そんな帰り道に置いておきたい言葉です。
秋には、夕暮れという楽しみがある
秋は夕暮れ。
清少納言『枕草子』冒頭
『枕草子』の冒頭では、季節ごとに趣のある時間や景色が描かれます。秋のくだりに続くのは、山の端に近づく夕日、ねぐらへ急ぐ烏、小さく連なって見える雁。そして日が沈んだ後の風や虫の音です。
これは「夕暮れを見れば悩みが消える」という教えではありません。清少納言が、秋のこんな時間をよいと思って書き留めた言葉。そのまなざしを、今の暮らしにも少し借りてみたくなります。
帰り道を、ただの移動時間にしない
電車の中では連絡を確認し、歩きながら献立を考え、家に着く頃には次の用事へ。もちろん必要なことです。ただ、移動中のすき間を全部「何かを片づける時間」にすると、自分の目や耳が休む場所は、案外なくなってしまいます。
遠くの名所まで出かけなくても、駅前の木の葉や、窓に映る空の色は変わっています。毎日通る道なのに、昨日と少し違う。効率のよい帰り方とは別に、そんな発見のある帰り方があってもよさそうです。
きれいな景色を探し出さなければ、と頑張る必要もありません。曇っていても、夕方に外へ出られなくても大丈夫。仕事を終えて飲むお茶の湯気や、玄関を開けたときの空気でも、自分が今いる場所へ戻るきっかけになります。
写真に残さない一瞬があってもいい
今日の帰り道で、立ち止まれる安全な場所や座っている時間があったら、スマホを見る前に一度だけ周りへ目を向けてみませんか。歩行中や運転中に画面や景色へ気を取られる必要はありません。
「今日はこんな色だったな」。それだけで十分。撮影も投稿も、上手な感想もいりません。誰かに見せるためではなく、自分が見た一瞬として受け取る。何も片づかなかった数秒が、その日の好きな時間になることもあります。
秋は夕暮れ。忙しい一日の終わりにも、予定表に載らない楽しみが一つくらい残っているといいですね(*^^*)
作品を本で読む(河添房江・津島知明訳注/現代語訳付き・上巻):
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※紹介する版の訳文・表記は、記事内の引用や本記事訳と異なる場合があります。
あなたの好きな時間や、心に残るひと言も、「みんなの言葉」投稿ページから聞かせてください。
出典・参照
清少納言『枕草子』冒頭。参照:Wikisource『枕草子』第一段。日常へのつなぎ方は本記事独自の読み方であり、作者の主張として示すものではありません。
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