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「生きているからかなしいんだ」
やなせたかし作詞『手のひらを太陽に』より(歌詞掲載:歌ネット)
「今日も笑顔で」「前向きに頑張ろう」
そんな言葉に励まされる日があります。一方で、ちょっとまぶしすぎる日もあります。
悪気がないのはわかっている。でも、今の自分にはその元気がない。明るい言葉に触れるほど、明るくなれない自分が取り残されたように感じる。
そんな日に、違う角度から届いてくるのが、今日の言葉です。
明るい歌に、悲しいという言葉がある
『手のひらを太陽に』は、やなせたかしさんが作詞し、いずみたくさんが作曲した歌。NHK「みんなのうた」では、1962年に初めて放送されました。
元気な歌という印象があるのに、歌詞には「かなしいんだ」とあります。
生きているから、楽しい。生きているから、うれしい。それだけではないところに、この言葉の深さを感じます。
PHPの紹介記事では、やなせさんが、つらさや痛さも生きている証であり、喜びより先に悲しみを置いた理由を語っています。
悲しさを、間違った感情として扱っていない。私はそこに、静かな優しさを感じます。
感情まで、きちんとしなくていい
仕事で失敗した。大切な人とうまく話せなかった。楽しみにしていた予定がなくなった。
そんなとき、出来事そのものに加えて、もう一つ自分を責めてしまうことがあります。
「いつまでも気にしている自分は弱い」「もっと前向きにならないと」
悲しいだけでもしんどいのに、悲しんでいる自分にまで注意をしてしまう。心の中に、ずいぶん厳しい上司を置いているものです。
でも、今日の言葉に照らして考えると、少し違う見方ができます。
大切だったから、悲しい。期待していたから、がっかりした。うまくやりたかったから、悔しい。
その感情の奥には、自分が何を大事にしていたのかが隠れているのかもしれません。
言葉は、急かさずに寄り添うこともできる
もちろん、悲しみに必ず意味を見つけなければならないわけではありません。つらい出来事を無理に「いい経験だった」とまとめる必要もないでしょう。
今日の言葉を、私は「悲しみに耐えなさい」という意味ではなく、悲しいままの自分を否定しなくていい、という言葉として受け取りたいと思います。
言葉の力は、人を奮い立たせることだけではありません。止まっている人の隣に座って、「今すぐ元気にならなくてもいい」と伝える力もある。
今日は笑えなかった。それでも、温かいものを飲んで、少し休んで、一日を終えていい。
笑顔ではない一日も、あなたが生きた一日です。


“言葉の力|やなせたかし――元気じゃない日も、生きている。” への1件の返信